音楽聞く

がんばる

rural 熱海 ホテルニューアカオ

 

開催から半年以上時間が経ってしまったが、あまりに楽しかったので昨年の夏に行ったruralの思い出を書き留めておく。

 

 

2022年7月18日、公演最終日のトリを務めるJane Fitzは、2019年にトロントでプレイを見て以来、いつかまた見たいと思っていた。今まで見た中でもはちゃめちゃに踊れたDJプレイの一つで、7時間以上のロングプレイもなんのその、その集中力たるや凄まじかった。ジョイントを吸いながらレコードをセレクトし、回す姿も見ていてなんだかほっこりした。

彼女は英国在住のため日本に来る機会も多くなく、ruralの会場のホテルニューアカオも鹿鳴館みたいでイカしとるやん、これは行かねばと思い重いケツを上げるに至った。

 

 

 

 

当日は快晴で、熱海駅から出ていたシャトルバスから降り、会場へと向かう道中、澄んだ海が見渡せた。

エレベーターで会場まで降り、ペインティングの並んだ廊下を抜けると、メインのホール後方に吊るされた巨大な螺旋状の草花、控えめに怪しく光る照明とミラーボールお化けのようなオブジェが目に入り、静かに高揚する。夜になると観客の顔の視認が難しくなるほどフロアは暗くなり、とても落ち着けた。

 

 

日が落ち始めたころにDJ Pleadのプレイが始まった。BPM100程の抑えたテンポで漂わす呪術的ムードは新鮮で、装飾との相性も良かった。その他AKIRAM EN、GiGI FM、BatuなどのDJも見たが、もうだいぶ記憶が曖昧なので割愛。

 

窓から海が見渡せるタコ部屋的空間で休みつつ、朝6時からお待ちかねのJane Fitzのプレイが始まる。冒頭、サイケデリックでながーーい珍妙な曲をかけ、じっくり練り上げてんなーと椅子に座って遠くからガン見していると、機材の不調なのか、大体決まったようなポイントでレコードのブツッというノイズが入ることに気付く。そのせいで幾度もグルーヴが途切れ、オーディエンスがみるみる減っていくのが見て取れた。Janeの気持ちを勝手に想像してあかんゲロ吐きそう、死んじゃうと思い一度退散。

 

 

廊下の途中にあった移動図書館で、ネバダ州の砂漠で催される祝祭、バーニングマンの写真集やナウシカの元ネタであるメビウスなどを読み、音楽イベントでディープな本が読める素晴らしさに感動。スペースを提供していたのは移動図書館「PARADISE BOOKS」という団体らしく、過去にも2019年のFESTIVAL de FRUEにも展開していたみたい。超最高。お布施したい。

 

 

 

一旦気持ちが落ち着いたところでフロアに戻ると、なんか人戻ってきてるし、踊っとる。変わらずレコードのノイズ音は聞こえるが、時たまJaneが再生中のレコード針を手で動かすようなパワープレイを見せたり(間違ってたらすいません、うろ覚え)、終盤に近付くに連れて観客から拳が上がったり、がんばれバイブスが醸し出されてきた。時たま少しおちゃらけたようなトリッキーな曲も交えながら、陶酔的なテクノにぐいぐい引っ張られ、先程のお通夜状態が嘘のように周囲の人々とぶち上がった。バチバチに踊った。

元々6時から10時までのセットを予定していたにも関わらず、終演は正午にも差し掛かろうかという時間で、音が止まる最後の瞬間までフロアの熱が下がることはなかった。何より窓から差し込む朝の光と、波立つオーディエンスは圧巻だった。開けた空間で大きな音を浴びながら、人々と踊る時間は何者にも代え難い。

 

 

 

ホテルニューアカオも、今ではなかなかお目にかかれないような昭和の雰囲気漂う会場で、本当によかったな。メインホールには椅子が沢山あって、座りながら楽しめたのも個人的には嬉しかった。

 

 

 

あとは海のそばで音楽に興じ、疲れたらフロアから離れてぼーっと海を眺めていられたのは大きかった。海を眺めながら煙草の吸えるバルコニー、たまらなかった。海、巨大。バリでかくて呆けた。

 

 

 

2023年3月現在、今年のruralはPiezoの出演が決定しているが、行けなさそうなので至極残念。また機会があれば参加したいし、出演がキャンセルになってしまったDJ Mercelleのとんでもプレイもいつか見たい。

自分でレイヴもやりたい…。開けた場所で暴力的なテクノを流したい。