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13の理由

 

 

巷で話題になっていたNetflixのドラマ『13の理由』を見た。

 

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とあるアメリカの高校で女子学生ハンナが自殺し、亡くなる前に彼女が残した13のテープに登場する人物を巡る物語である。

 

 

高校生の男女が直面するであろう問題は実に深刻だ。

精神的に未熟でありながら、容姿や身体能力の差、対人関係から必然的に生まれるヒエラルキーの中で彼らは生きていかなければならない。様々な性格、思想を持った多数の人間が押し込められた学校という狭い世界では、ほんの諍いから苛めにあったり、好機の目に晒されたりと皆少なからず壁にぶつかる。大人から見ればほんの小さなことも彼らにとっては一大事であり、その狭い世界での出来事、友人、恋人との関係が人生であるかのように捉えてしまう。昨今のSNSの普及によって、その生き辛さは加速しているかのように思える。

そのような環境だから故に、XXXTentationやLil Peepのような若者の憂鬱を主題としたエモトラップがティーンエイジャーの共感を呼び、自殺防止を呼びかけたLogicの

1-800-273-8255』がヒットを生んだのだろう。

 

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本作品はそんな世界でハンナが選択した自死の要因をリアルに描いている。

学校中に広まった心無い写真やリスト、両親やクレイに助けを求められなかった17歳の少女の不器用さ、真の意味で生徒の良き相談者となれなかった教師、どれも現実の学校社会が抱える問題と相違ない。

また、自殺の決定的な要因であり、本作の大きな主題の一つがレイプである。セカンドレイプを恐れ、被害者であるはずの女性が性被害を打ち明けることが出来ないという問題は今もなお現代社会に深く根ざしている。テープを聞いてもなおブライスからレイプを受けたという事実をひた隠そうとするジェシカの姿が、レイプが女性に与える傷の深さを表している。

 

本作を見終わった後、彼らのSOSを見逃さず、悲劇を迎える前に救い出すこと、性被害を受けた女性が声を上げることのできる社会を形作ることが、現代人が思慮すべき大きな課題であると突きつけられたように思えてならなかった。ティーンエイジャーの愚直さ、脆さを描くことによって、現代社会が抱える問題をここまで浮き彫りにさせた作品は二つとないだろう。ハンナの死を受け入れられずもがくクレイ、家庭の問題やジェシカとの関係に悩むジャスティンらの少年らしい脆さが痛ましくも美しい描写も、切迫感を持って視聴者に訴えかけているように感じる。

 

 

そしてやはり特筆しておきたいのは、物語に綺麗に沿う選曲の素晴らしさだ。どの挿入歌も物憂げで儚く、悩めるティーンエイジャーの心情を巧みに表現している。冒頭でトニーの車のステレオから流れるJoy Divisionの『Love Will Tear Us Apart』は、これから起きる全てを物語っているかのようだった。

クレイの部屋に貼られたボン・イヴェールのポスター、アレックスの部屋にはジョイ・ディビジョンといった風に、挿入歌以外にも音楽への拘りが感じられた。

 

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売人から銃を購入したり、暗室でハンナの死に関わる人物を並べてみたりとタイラーが何かしでかす雰囲気を漂わせながらシーズン1は幕を閉じたが、シーズン2ではコロンバイン高校の銃乱射事件を題材にした映画『エレファント』のような悲劇が起きるような気がしている。 

 

 

兎にも角にもここまで感情移入し、考えさせられる映像作品は今までになかった。

凄惨なシーンを持って思春期の少年少女が抱える苦悩をありありと描いた『13の理由』は、彼らが抱える数々の問題を大々的に提起した問題作である。国籍年齢性別を問わず、一人でも多くの人に見て欲しい。